ノスタルジックな気分に浸る心の故郷小説。【夏美のホタル/森沢明夫】
どーも。Kamiです。
皆さんは田舎に行ったことはありますか?
また、ホタルを見たことはありますか?
僕は田舎出身なので、ホタルを実際に見たことがあります。
まぁ実家の近所ではなく、実家よりももっと田舎のおばあちゃんちの近くでですけど。
車1台通らないような真っ暗な景色の中、足元に微かに光る黄色い光。
遠目で見ても絶対に気づかないような薄い光だけど、目を凝らすとしっかりと存在を示すように光っている。
まるでマッチを擦ったかのように、光が点いたり消えたりしている。
周りの闇が深いほどはっきりと写る光。
ホタルってすごく幻想的なんですよね。
って言っても、僕も最後に見たのは高校生の時なんで今見るとまた違った感情になれるのかもしれません。
そんなどこか懐かしくてきれいな気持ちになる小説が今日紹介する『夏美のホタル』です。
著者は森沢明夫さん。この方の小説はきれいで心温まる小説が多いです。
本作も映画化されましたね。僕はまだ見れてないんですけど、絶対見たいと思います。
主人公は相羽慎吾(あいばしんご)。
美術大学の4回生で写真家の卵である。卒業制作のための作品テーマの模索と素材写真を取りに彼女と山奥にツーリングに来ていた。
その彼女というのが一つ年上の河合夏美(かわいなつみ)。
幼稚園の教諭をしている。
HONDAの赤いCBX400Fを運転しているのはスピード狂の夏美である。
そのツーリング途中で夏美がトイレに行きたくなり、たまたま寄った古いよろず屋が
今回舞台となる「たけ屋」であった。
たけ屋は昭和の香り漂う懐古的な建物だった。
慎吾は外で待っていたが、そのノスタルジックな建物に惹かれ、思わず一眼レフのシャッターを切っていた。
せっかくなので慎吾もトイレを借りておこうと中に入ると、ごま塩頭の親しみやすい笑みのおじいさんが居間でお茶を飲んでいた。
ちょうどそのタイミングでトイレからおばあさんと一緒に戻ってきた夏美は、持ち前の愛嬌の良さですっかりおばあさんと仲良くなっていた。
おじいさんの名前は福井恵三(ふくいけいぞう)。おばあさんの名前は福井ヤスエ。母子だった。
そのまま慎吾と恵三も加わりしばらく4人で談笑し、そろそろ店を出ようとすると、 ヤスエが来月には近くの川でホタルが飛ぶと言う。
興奮した夏美は即座に来月も来ようと慎吾に提案する。
慎吾も写真を撮りたいと思ったので二つ返事でOKすることにした。
そのたけ屋での出会いをきっかけに慎吾と夏美の忘れられない夏が始まっていく…
この小説は泣きます。
悲しい涙ではなく、暖かい涙が溢れてきます。
日々の忙しさに追われ、心に余裕がなくなっている今、ちょっと足を止めて心の故郷に思いを馳せてみませんか。
ぜひ読んでみてください。