思わず大切な人の声が聞きたくなる、心温まる恋愛小説。【カフーを待ちわびて/原田マハ】
どーも。Kamiです。
ついに4月に入りましたね。
もうそろそろ桜が満開ですね。季節はもう春です。
しかしながら、私の春はまだやってきそうにありません。
……誰が興味あんねん!!
失礼しました。本題に移ります。
皆さんは大切な人、好きな人はいますか?
それぞれにいらっしゃると思います。家族でも、両親でも、友達でも。
人を好きになる気持ちっていいですよね。特に恋をしてしまったとき。
人を好きになるのは理屈じゃありません。
自分でも予測できないものです。
タイプじゃないのになんか気になる。LINEの返事が来ないとソワソワする。
そういう感情って好きな人じゃないと湧きませんよね。
そんな、人を好きになるのっていいなと思わせてくれる小説が今回紹介する『カフーを待ちわびて』です。
著者は原田マハさん。
先日、池井戸潤さんの作品はハズレがないと言いましたが、この方もどの作品も面白いです。
女性の方ですが、女性目線になり過ぎず、でも女性らしさもしっかりある。だから、共感できる人は多いと思います。
さて、内容ですが…
主人公は友寄明青(ともよせあきお)。
沖縄の離島で亡くなった祖母から引き継いだ小さな商店を営んでいる。
繁盛期は観光客が来て忙しいが、普段は近所の小学生やお年寄りの井戸端会議の場になっている。
家族は愛犬のカフー。それと裏庭に住んでいる巫女(ユタ)のおばあ。
おばあは血縁関係はないが、家族がいなくなった明青の面倒を見てくれている。
沖縄には今もユタが存在するが、明青はこのおばあは本物の神人(カミンチュ)だと信じていた。というのも、漁に出て事故死した父も、弟を死産した後、出ていった母も、カフーが来た日も、おばあのウシラシ(お知らせ)を告げられてきた。
あまりにも当たるので、今では半信半疑と自分に言い聞かせるようにしていた。そうでないと、期待と不安に押しつぶされそうになるためだ。
その日もいつも通りおばあの家で晩御飯を食べていた。
すると突然おばあが「ウシラシ(お知らせ)あったかね。」と発した。
何のことか分からずきょとんとし、その場は受け流した明青だったが、家に帰り郵便ポストを覗くと『幸』という名で明青宛てに封筒が届いていた。
その封筒をしばらく眺め、封を切ると、几帳面な字で
『ある神社であなたの絵馬を見て手紙をしたためてます。…私をあなたのお嫁さんにしてくださいますか。近々訪ねる決心をしています。 幸』
との記載があった。
それを読んで明青は思いだした。
今年の2月に北陸に旅行した際に、ある神社で絵馬に『嫁に来ないか』と書いたことを。しかしそれはほとんどウケ狙いで、昭和の歌謡曲のタイトルを書いたものだった。
明青はなぜかこの手紙を信じる気になり、その日から『幸』を待ち続けた。
しかし待てども待てども『幸』は現れなかった。
明青は来ないかもしれない誰かを待ち続けることに苦痛を感じ、会ったことのない『幸』との別れをするために、手紙を燃やすことにした。
次の日、明青がいつも行く浜辺に白いワンピースの髪の長い女性が立っているのに気づいた。
すれ違おうとした瞬間、女性が『これはガジマルの木ですか?』と声をかけてきた。
『そうですよ、』と返し、軽く会釈をして立ち去ろうとすると、その女性は『もう一つだけ…』と明青を呼び止めた。
そして『友寄明青さんのお宅はどこでしょうか?』と尋ねてきた。
声を震わせながら『うちですけど。』と答えた明青に女性は、『はじめまして。幸(さち)です。』と言うのだった。
この『幸』という女性はいったい何者なのか?
明青の恋の行方は?
あたたかくて、やさしくて、ちょっと切ない極上の恋愛小説。
この小説読むと本当に沖縄に行きたくなります。(笑)
やっぱり人を好きになるのっていいですね。
ちなみに『カフー』っていうのは『果報:良い知らせ・幸せ』って意味らしいです。
春が目の前に迫った今、沖縄に思いを寄せて、優しい恋愛小説を読んでみませんか?
では(^^)/~~